相続させる場合

遺言書を用意した方がいい場合

遺言書を用意した方がいい場合か否かは、最終的に、それぞれの方の事情をお聞きしないと判断できませんが、一般的には、次の8つの場合は、遺言書を用意することをお勧めします。
(1)夫婦間に子供がいない場合
夫が妻または、妻が夫に全財産を与える旨の遺言をしておきますと、夫(妻)の兄弟姉妹には遺留分は認められていませんので、残
された妻(夫)は安心して夫の全財産で老後を過ごすことができます。また、夫(妻)の両親の場合は、その遺留分は六分の一ですの
で、遺留分減殺請求されたら、両親に残す必要がでてきますが、このような遺言を残しておかないと、3分の1は両親が取得すること
になってしまいます。
(2)再婚して先妻の子供と後妻がいる場合
夫が死亡するとともに後妻と亡母を思う先妻の子供との間に感情的な対立が表面化することが多いので、争いを未然に防ぐため、用
意しておくことをお勧めします。
(3)妻(夫)が内縁の場合
内縁の妻(夫)には、夫(妻)の遺産を相続する権利はありません。遺言があってはじめて、取得することができるからです。
(4)事業や農業の経営を子供に継がせたい場合
事業、農業を、子供の一人に引き継がせるためには遺言が必要になります。そうでないと、分割されてしまいます。
(5)息子の嫁(娘の婿)に財産を贈りたい場合
息子の嫁(娘の婿)が義理の親にいかに献身的に仕え、面倒を看ても、義理の親の遺産を、息子の嫁(娘の婿)が取得することはで
きません。特に、息子(娘)を亡くした後も義理の親をみてきた嫁(婿)に対しては、その将来の生活のために、遺言で遺産を残して
おく必要があります。
(6)遺産の分割が困難な場合
審理の時間、弁護士費用等がかかるので、事前に、遺言で争いを防止することをお勧めします。
(7)身体障害の子に多くの財産を残したい場合
法定分割だと、他の子と同じ権利しかないので、他の子が譲歩してくれればいいですが、必ずしも譲歩してくれるとは限らないの
で、事前に、遺言で定めておくことをお勧めします。
(8)相続人がいない場合
遺産は国庫に帰属してしまうので、遺産を寄付したり、お世話になった方に、遺贈しておくことができます。