相続する場合

相続放棄ー問題となる行為

相続人が単純承認をしたと評価される行為(民法921条)を行うと、相続放棄はできず、また、相続放棄の効力を争われることがあります。
そこで、代表的な行為について、個々に検討すると、次のようになります。
(1)被相続人の債務の弁済
相続人の固有の財産で、亡くなられた方(被相続人)の債務を弁済することは問題ありませんが、被相続人の財産で債務を弁済するのは議論が分かれているので、注意が必要です。
(2)債権の取立て・受領
被相続人の債権を相続放棄前に取立て、受領した場合、単純承認となり、相続放棄はできません。これに対し、債務者が一方的に支払ってきたので、受領した場合については、判例・学説は見当たりませんので、相続放棄が認められる可能性はあるので、注意が必要です。
(3)形見分け
経済的価値のない遺品を分配する形見分けは単純承認にあたりませんが、価値のあるものは注意が必要です。
(4)葬儀費用
社会的に相当な費用でしたら、単純承認にはあたりませんが、相当な費用を超えると、単純承認にあたります。
もっとも、社会的相当な費用とはいくらかについて、具体的金額を示した判例は見当たらないので、注意が必要です。

以上の注意が必要な事項については、具体的事案ごとに判断されるので、これから行おうとしている際には、慎重に行い、既に、行ってしまい、相続放棄の申述をする場合には、弁護士に代理人になり、申述をした方が宜しいかと思います。